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naruseの洋服ブランドをたちあげてから、いろいろな壁がやってくる。
最初の壁は、工場で生産するということの勇気。自分の手からはなれたものっていうのは、作品でなく商品になる。と思っていた。
だれかのちからを借りるということは、自分のやりたいことをちゃんと言葉で伝える能力を持たないといけないうえに、自分の作ったものを、もっと客観的にみれなくてはいけなかったりする。
好きで手を動かして、作りたい!と思った時にいいものができて、それを発表して売る。それがわたしのスタンスだと思っていたのだけど、もっともっと欲がでてきてしまって、自分ひとりの時間と技術ではできないものを、想像するようになってしまった。
でも簡単には踏み出せなかったので、自分の手でできる範囲のもので自分の時間の中で作れるものを作ってきたのだけど、やっぱりやってみたかったので、ついに重い腰をあげて動き出した、というのがnaruseのはじまり。
今までは、資本金というものがわずかばかりでよかった。
布屋へいって、作れるぶんだけの布を買い、自分のひける範囲で型紙をひき、縫い、洋服やかばんを作り注文がきたらその分だけ作る。リスクがない。
でも、工場で生産となると最小ロット数というのがある。全種類10着、20着とつくるとなると個人で考えるとすごいお金がかかってしまう。しかも売れるかどうかもわからないし、洋服というのはとてもサイクルが早い。
さらに会社単位で考えると、10着20着はとても少ない単位なのでひとつひとつの原価も高くなる。となると、販売する値段も高くなってしまう。まだまだ名前もあまり知られてないブランドに、この金額はだせない。という金額になってしまう。
それでも、本当に少ない予算の中でない頭をひねってでも、なぜか作りたい。
最近は、安く売っている洋服をできるだけ、みないようにしている。なんだか、しょんぼりしてしまうから。
こんなに安いのに、しっかりとした素材でちゃんと縫われていて、着やすそうだわ。と思うとがっくしきてしまう。
でも反対に、とても高いけどやっぱり醸し出している世界観のあるブランドのものは、触っているだけでどきどきして、元気をだすためにも、買ってみよう。と思ったりする。そうやってお金をだす洋服は売っているお店も重要だったりする。あそこのお店の紙袋にいれてもらいたいな。と思って、わざわざ出向く。そうやって買ったものはいつまでも、その空気だったりはなくならなかったりするから、不思議だな。と思う。
わたしも、そういう服をつくりたい。
いろいろと考えながら進むわけだけど、なかなか思ったようにいかないことも多いわけである。
例えば、ショップ向けに展示会を開催する。ファッション業界のサイクルは先ほども書いたように、とても早いサイクルでまわっているので、いろいろと調べた結果4月に秋冬、10月に春夏の展示会を開催する。やっとあったかくなってきたなあーと思ったら、秋冬のウールものを発表し、やっと暑い暑い夏が終わり、これから涼しい秋がやってくる。と思ったら、コットンや麻のキャミソールを発表するのだそうだ。わたしはまだまだ一般的な感覚のほうが強いので、ついていけないよなーと思ったりするのだけど、作り手となるとそうはいかない。頭が多少こんがらがりながらも次のシーズンのことを考えたりする。
でも名前もたいして知られていない、なんのコネもない新しいブランドが、アトリエで展示会をしました。という案内をお店に送ったところで、全然反応がないのは当然のこと。お店の人も暇じゃないのでそんなに簡単には来てくれないのである。
そうなると、わたしの場合、今までやってきたことのおかげで一般の方々が展示会にきてくれる。
でも、一般の方に次のシーズンの展示会をしても、まだちんぷんかんぷんなんだろうな。というのが、今回のあきふゆの展示会でよくわかった。
あきふゆの展示会なのに、今シーズンのはるなつの洋服たちばかり売れる。うれしいことなんだけど、新作もみてみて!という気分のわたしは、あれ、あんまり秋冬は、よくなかったのかな・・としょんぼりする。
それでもいくつかは、注文がついのたのだけど、アイテムが増えたために注文がついたのもバラバラで、注文1や2のものもたくさんでてしまった。そうなると、工場での生産にだせない。自分たちで作るしかない。さて、また壁である。
でも、今回の春夏ものも暑くなるにつれ売れてきて、在庫も残り少なくなってきた。
今ほしくないだけかもしれない。あとになると、ほしいな。と思ってくれる人もいるのかもしれない。
こうなると、やっぱりおおよその予想をして作ったほうがいいのか、リスクを考えると注文がはいった分だけ作ったほうがいいのか。
とてもとても迷うところ。
果たして、このファッション業界と同じサイクルでやる以外に、道はないのか。とも考えてみたりする。
そういうことを、むにゃむにゃと考えながら、仕事をする。
でも、なんというかだからといって、お金があったらいいのに。とは、特別おもわない。こうやってむにゃむにゃ考えながら進むのが、いいのである。と思っている。
10月に開催しようと思っていた春夏の展示会、南船場のグリフィスと松本のtonicoとやらせてもらおうと思っていたのだけど、一般の方むけにはやはり早いな。と思い、その旨を話し、一旦中止することにした。9月に芦屋で個展があるというのもあるので。
10月、東京で開催する合同展示会というものに、今応募しているところ。審査があるので、まだとおるかどうかわからないのだけど、お店のバイヤー向けの展示会。とおるといいな。でもとおるとなると、緊張するなあ。というところ。
才能あるすごい洋服をつくっている人って、たくさんいるんだろうし、そんな中でぱっと目をひくっていうのはよっぽどでなくてはいけない。わたしの洋服っていうのは、なんというかそういう前衛的でもなく、ものすごく個性的でもない。
でもそういう服をつくりたいと思わないし、なにぶん頭にでてこないだろうから作れないだろうと思う。
わたしだけの個性というものを、もう少し客観的にみることができたらいいんだけどなあー。
むにゃむにゃ、考える。
いろいろと考えていることがある。仕事も大事だけど、子どもだって生んで育てたい。
わたしらしいやり方で、作りたいものを作って、買ってくれた人が大事に持ってくれるということをしたい。
贅沢なことだろうけど、できればやりたい。と思う。
今すぐには叶わないかもしれないけど、そういうやり方をこうやってむにゃむにゃやっているうちに、きっとみつかるはず。と思っている。
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